コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)
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ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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人気ランキング: | 75791 位
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参考価格: | ¥ 714 (消費税込)
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「俺に今一杯のコーヒーが飲めたら世界はどうなっても構はぬ」
本書のはじまりはスーフィズム(イスラーム神秘主義)、コーヒーなる奇怪な媚薬の起源を
たどってみると、それはやがて人種や宗教の絡み合った世界史のカオスへと流れ着く。
例えば、近代市民革命の舞台装置としての公的空間はコーヒーの介在なしでは
成り立ちえなかった? 例えば、ドイツをアフリカ植民地政策へと駆り立てたのは
コーヒーへの果てなき熱意だった?
黒き混濁の向こうを透かしてみれば、その果てに広がっていたのは
あまりに象徴的な世界史をめぐる「寓話」だった…
他のレビューによって既に散々指摘がなされている通り、本書は必ずしも膨大な史料や
重厚な考察のもとでコーヒーと世界史の関わりを概説する、などという一冊ではない。
一歩間違えると、プランテーションのはじまりはコーヒー、などという紛らわしい誤読の
可能性もあってしまうわけで、その点軽率と言えば軽率なのかもしれない。
全体に奇を衒っただけの一冊、と看做される方もおそらくはあろうかと思われる。
ただし、コーヒーをめぐる非常に肩の力の抜けた史的エッセイとして読めば、
それ相応には楽しめるだろう一冊、もちろん力作には違いないのだけれど。
ユーモアとウイットを愛するコーヒーマニアにお薦め!
真面目で真摯で誠実で官能的なコーヒーマニア臼井氏による非常に有意義な歴史書。
時々読み返しては、爆笑したり、にやにやしたり、瞑想にふけったりできる二度も三度もおいしい本だ。とぼけているが単なる受け狙いではなく、人柄の良さ、博識、鋭い感性、温かい知性を感じる。文章は平易で淡々としているが、ツボを心得ていてついつい読み進んでしまう。
単にコーヒー通というだけでは本書を真に楽しめないだろう。「コーヒー」という文字を見ただけで発情に近い感覚に襲われる人で、かつ「ブラック」ユーモアが嫌いではない人でなければ。
最も爆笑できるのは、103頁の終わりから104頁にかけてである。この頁をめくった瞬間の爆弾的笑いのセンスはこれだけで著者への愛を感じてしまうほどだ。ここだけで5分間は笑った。
第3章コーヒーハウスと市民社会から第4章黒い革命、第5章ナポレオンと大陸封鎖あたりが一番弾けていて興味深いと思うが、第1章のスーフィズムのコーヒーの記述は美しく、イスラム世界の神秘的な風景と精神的な気高さへのノスタルジーがまさに薫り高く描かれている。特に18頁から20頁の詩に魅せられる。
個人的に好きなくだりは148頁「フリードリッヒ大王は矛盾に満ちた魅力的な男性であった」から「このタイプの男性がコーヒーを飲まなかったわけがない。彼の飲むコーヒーもいかにも矛盾に満ちている」… もっと知りたくなった方はたぶん本書を好きになる人だ。
独断的か?独創的か?
『カレーライスの誕生』や『とんかつの誕生』を読んでモノから見る歴史という視点に非常に興味を持って、続いて『砂糖の世界史』、『英国紅茶論争』などを読んでモノから見る世界のつながりという視点に非常に興味がわいて、紅茶や砂糖のほかの世界商品はコーヒーだろう、と思い、この本を読んでみましたが・・・独特な文体もさることながら、「そんな一つの事象からはそこまでは言えないだろう」という点が多々あり、かなり実証性に乏しく独断的(独創的?)と思われる視点が続き、最後までまゆつば感がぬぐえませんでした。読後はタイトルに惑わされたという感じで、期待を裏切られました。
コーヒーを軸に描かれるグローバルヒストリー
コーヒーの存在を過剰に重視ししている部分もなきにしもあらずですが(例えば一次大戦時において、コーヒーが最重要戦略物資であるかのように描かれていたり)、とにかく読み物として面白い。普段読書をしつつ何気なく口にしているコーヒーに、かくも壮大な歴史があったとは・・・。気軽に、かつ楽しく読める本です。
イスラム圏でのコーヒー誕生の話は面白かったのですが…。
世界商品としてのコーヒーがどのように歴史に関わり、世界を掻き混ぜてきたのかを読みたかったのですが、歴史を語る添え物としてコーヒーを使っているだけのような印象で、そのダイナミックさが読み取れず物足りなかったです。世界史についての記述も、貧書生さんが書かれているように、ユーモアのある語り口が時折、記述を説得力のないものにしていて、繋がりなども分かりにくく、ヨーロッパ史に詳しくない者からすると、少し混乱するように思いました。軽い読み口が好みの方にはいいでしょうが、積極的に世界史に絡むコーヒーを説明している、信頼できる本をお探しでしたら、他の書物を読まれることをお薦めします。
中央公論社
茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596)) コーヒー・ハウス―18世紀ロンドン、都市の生活史 (講談社学術文庫) 砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書) ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書) パンとワインを巡り 神話が巡る―古代地中海文化の血と肉 (中公新書)
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